人工知能(AI)が描いた肖像画がアメリカのオークションで130万ドル(約1億9800万円)で落札されたというニュースが11月に話題となりました。
この肖像画は、1月7日第2次世界大戦中の暗号解読者として有名なアラン・チューリングを、人工知能(AI)のロボットが描いたものです。
アラン・チューリングって誰?
知っている方にとっては説明するまでもない有名な人物ですが、知らない方向けに簡単に説明します。
アラン・チューリング(1912~1954年)は、イギリスの数学者であり、「コンピューター科学の父」あるいは「人工知能の父」と称される人物です。
最も有名な功績は、ナチス・ドイツ軍の暗号機「エニグマ」の解読に成功し、イギリス、連合国の勝利に貢献したことでしょう。
その他、今日のコンピュータの基本的な概念といわれる「チューリング・マシン」という概念の発表、
コンピューターは「人間のような知能」を持ち得るかを判定するための「チューリング・テスト」を提案したことが有名な功績です。
ちなみに、前述したエニグマの解読を描いた映画、ベネディクト・カンバーバッチ主演の「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」は名作なので是非見てみてください!
なんでこんなに高額で落札されたの?
昨今の芸術の落札金額に説明をつけるのは、ただでさえ難しくなってきています。
そんな中、AIが描いたこの作品が億を超える金額で落札されたのは様々な要因があるでしょう。
まず、今回の肖像画を描いた「Ai-Da」は、目に搭載されたカメラとロボットアーム、そして高度なAIアルゴリズムを駆使してする「ヒューマノイドロボット」です。
最近話題の生成AIイラストのような、コンピュータ上で絵が生成するタイプではなく、ロボットが手を動かして、まるで人間のように肖像画を描きます。
「人間に匹敵する知能を持ったAI」を搭載し、「人間のような体を持って人間のように手を動かすロボット」が描いた、「人工知能やコンピュータの父と呼ばれる人間」の肖像画
これが今回高額で落札された肖像画なのです。
最近のAIの急激な進化は様々な人や物に影響を与えており、特にAIが生成する創作物に関しては、その是非も大きな議論を呼んでいます。
この作品が高額で落札された背景には、「人間とは?」「AIとは?」「ロボットとは?」という、現在私たちが考えなければいけないテーマがあるのかもしれませんね。